茂木健一郎 「すべては音楽から生まれる」

言葉によって心を語ることは難しい。心いっぱいに広がる思いを言葉にしてみて、数行に収まってしまうのを見ると違うと思うことがある。こんな簡単に言い切れるものでないと思いつつ、ふとその言葉ではなく、心の前にたたんずんでしまう。そして、じっとその心を味わう。受身ではなく、この味わいを伝えられるような「生き方」を今年も心がけてみたい・・・・。
先日の日記で、心を語ることの難しさをこんな風に書き、だからこそ、音楽や絵画が言葉を補うものとして存在するのかなと思っていたら、茂木さんの「すべては音楽から生まれる」に出逢った。
そして、
第4章 音楽のように生きる 「言葉と音楽」に深く納得するものを感じた。

そもそも私は、言葉というものを意味においてとらえていない。言葉は意味ではなく、リズムや音といった、感覚的なものに負う部分も多い。意味だけを求めると、本質からは遠くなってしまう。この感覚をわかる人とは共有できるものも多いが、わかってもらえないとすごくつらい。意味に囚われている人と話していると、堅苦しく、息苦しいと感じてしまうことがある。(中略)もちろん、文章における意味という要素は無視すべからざるものだということは十分に承知してはいる。ただ、私の人生は、すでに音楽の領域に足を踏み入れてしまったのかもしれない。
 人間が獲得したものの中で、一番の福音でもあり呪いでもあるのは、「意味」だと思う。(中略)
 音楽は、意味から自由であり、生命活動に近い。だから、私の音楽に対する関心は一貫して生命哲学と密接につながっている。・・・・

長い引用になってしまったが、音楽に対する感覚が見事に表現されているように感じたので・・・。
そして、私にとっては、絵画も大切な言葉となっているような気する。
日々の仕事の会話においては、こうした感覚を抑圧することが多く、疲れや息苦しさがつのる。

すべては音楽から生まれる (PHP新書)

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