清川 妙 「八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅」

八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅

八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅

 連休明けに風邪をひき熱を出した。
そのとき、1年くらい前に買い求め読んでいなかった表題の本をようやく読み始め、読み終えた。

 著者が、仕事や旅行で支障なく意志疎通ができるレベルを目指して英会話の個人レッスンを始めたころを思い出して記述している部分がとても印象に残った。

レッスンは愉しかった。今から思えば五十五歳という歳は、なんと若く、
未来をたっぷりはらんだ年齢だったことだろう。私は女学生の気分であった。
ペラペラには程遠かったが、語学を習得するプロセスは愉しさに充ちていた。
ものの考え方や形容の仕方が、英語と日本語とでは違う。仕事にも役に立ったと思う。

こうして、著者の英語の学習が開始され、取材旅行、ひとり旅へと続いていく、
イギリスへの旅を通して、人生が充実し輝いていく様が丁寧に語られていく。
あっという間の三十年でもあり、長い長い日々にも感じられる。
「今から思えば五十五歳という歳は、なんと若く、未来をたっぷりはらんだ年齢だったことだろう。」
まさに今その歳を目の前にしている私にとって、この言葉は、なんと魅力をはらんでいる事だろうか・・・。
勇気と元気、そして晴れやかな気分をもらい、風邪もいつの間にか退散してしまったようだった。